はじめに
不動産業界において、意思表示は極めて重要な概念です。
契約の成立や無効、取り消しなどの判断基準となるため、不動産売買を行う際は十分にその理解を深める必要があります。
本記事では、意思表示に関する基本的な考え方から具体的な事例まで、分かりやすく解説していきます。
意思表示とは
意思表示とは、自分の意思を相手に表すことを指します。
契約の締結には、両当事者の意思表示が合致する必要があります。
口頭でも契約は有効であり、契約書の有無は問われません。
意思表示は、申込と承諾の2つに分けられます。
◆申込
契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示です。
申込の効力は到達主義が適用され、相手方に到達した時点で発生します。
◆承諾
申込を受けた者が契約を成立させるために行う意思表示です。
一方、承諾の効力は発信主義が適用され、発信された時点で発生します。
意思表示の効力発生時期
民法97条によると、意思表示の効力は相手方に到達した時から生じます。
相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げた場合は、通常到達すべき時に到達したとみなされます。
また、表意者が通知発出後に死亡や能力喪失しても、意思表示の効力は妨げられません。
この規定は、契約の成立時期を明確にするためのものです。
たとえば、申込みが相手方に到達した時点で契約が成立します。

条件付き契約と期限付き契約
契約には、条件や期限を付加することができます。
不動産取引における「停止条件」と「解除条件」及び「期限」について説明いたします。
◆停止条件
契約書に記載された特約で、一定の事実が発生することにより初めて法律的な効力が生じるものです。
例えば、名義人の引っ越しが決まることを条件として売買契約の効力を発生させるなど場合があります。
◆解除条件
解除条件は、契約書に記載された特約で、一定の事実が成就することにより法律行為の効力が消滅するものです。
例えば、住宅を購入する際、買主が住宅ローンの融資が受けられないことを条件として、売買契約が自動的に白紙になる場合があります(いわゆる「住宅ローン特約」)。
◆期限
期限は、法律行為の効力の発生もしくは消滅を、将来確実な事実にかからせる特約です。
事実が到来する時期が確定しているものを「確定期限」、不確定なものを「不確定期限」といいます。
例えば、特定の日付までに返済する約束をした場合、その日付が確定しているため「確定期限」となります。
名義人の人事異動などで住居が変わる可能性があり、日付として人事異動が通達される日付を指定する場合などは「不確定期限」となります。
不動産取引の契約書にはこれらの条件や期限が記載されることがありますが、具体的な文言は契約書ごとに異なります。
停止条件付き契約や期限付き契約では基本的に「当事者の意思表示」に依存しません。
これらの契約を結ぶ際は、専門家の意見を取り入れたうえで慎重に契約をすることをおすすめします。
まとめ
本記事では、意思表示に関する基本的な考え方から具体的な事例まで解説しました。
意思表示は契約の根幹をなすものであり、その理解は極めて重要です。
意思表示の効力発生時期、条件付き契約、これらの知識を活用し、適切に判断できるようになることが、不動産売買において大切なスキルとなるでしょう。