「負動産」とは、一人暮らしの親が他界し、空き家となった一戸建ての住宅や土地を相続したが、移り住む予定もなく、不動産の活用に必要な知識もないため、管理の責任と固定資産税の納税義務だけが発生する財産を指します。
地方の過疎化が進む中、このような負動産が多く発生しており、多くの相続人を悩ませています。
持っているだけで「負(マイナス)」の状態になってしまうため、このように呼ばれています。
負動産の典型的な例
所有者に金銭的な負担がかかる不動産である「負動産」の典型的な例をいくつかご紹介します。
◆相続した空き家
親が亡くなり、住まずに空き家になったままの一戸建てや土地が典型的な負動産です。
管理の責任や固定資産税の納税義務が発生するだけでなく、放置しておくと近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。
◆老朽化した分譲マンション
高度成長時代に供給された分譲団地タイプのマンションが老朽化し、建て替え問題が発生しています。
権利者の許可を得ることが難しく、売却も困難な場合が多いです
◆別荘・リゾートマンション
バブル時代に乱立したリゾートマンションは価格が下落し、共用施設の維持管理費が高額です。
所有者にとってはお金が出ていくだけの負動産となっています。
負動産を所有しているとどうなる?
負動産は需要が少ないために売却が難しく、手放すことができない状況に陥ります。
特に地方の過疎地域では需要が少ないため、売却先を見つけるのが難しいです。
そのため長期間所有しなくてはならないことが多く、保有する期間が長くなれば金銭的なデメリットも大きくなっていきます。
負動産の処分方法
◆相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月27日に開始され、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たしている場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。
負動産が放置されることで将来的に「所有者不明土地」が発生するリスクを予防するために、相続土地国庫帰属制度が創設されました。
相続人は一定の負担金(原則20万円)を納付する必要がありますが、引取後は国有地として適切に管理されるため、近隣からのクレームを心配する必要もありません。
最も安心で適切な負動産の処分方法と言えますが、この制度を利用するには国の審査に合格する必要があります。
条件がいくつかありますが、最も重要な条件を挙げると、更地である必要があります。
建物があるとそれだけで相続土地国庫帰属制度は利用できません。
区分建物を更地にするのは個人ではどうにもできないことが多いですし、戸建ての場合でも解体費用に数百万かかることも珍しくありません。
◆相続時の相続放棄
負動産相続時に相続放棄をすることで負動産を手放すことができます。
ただし、この方法では、相続した財産の全てについて権利がなくなります。
また、他の相続人や次順位の相続人(兄弟・甥姪)に負担が移ることになりますので、根本的な解決になりません。
◆引取業者にひきとってもらう
一部の土地を除き(農地は農地法の規制により引取不可)不動産業者に引き取ってもらえる可能性があります。
業者で異なりますが、引取料が高額(100万円超)になる場合も少なくありません。
引取業者が段取りを整えてくれるケースが多いので手間は減りますが、詐欺的業者も存在するので信頼できる業者を探すのに苦労することが懸念されます。
まとめ
負動産を相続したり、現在所有している方向けに、いくつか処分する方法を紹介しましたが、どれも条件や費用面が厳しい場合が多いです。
将来的に負動産となりえることが懸念される場合は、たとえ自宅であってもリースバックなどで売却をしてしまうなど、負動産となる前に手放すことが最も賢い選択と言えます。
近年、相続土地国庫帰属制度が新設されたように日本中で問題となっている事案なので個人で解決するのは難しいです。
そのような負担を相続人(夫・妻・子)や次順位の相続人(兄弟・甥姪)に相続してしまう前に自身で解決できるうちに手放すことが大切です。
管理や修繕で負動産となることを予防できますが地価の下落や築年数はどうしようもありません。
負動産となる前に適切な対応を心がけましょう。
少しでも負動産になりえることが懸念される不動産を所有している方は早めにプロのアドバイスを受けましょう。